Netflixで『邪神の天秤 公安分析班』を見たところ、これが予想していた以上に面白い作品でした。
大物議員の遺体に残された心臓と羽根の天秤、何を考えているのか分からない公安のメンバー、そして捜査一課とはまったく異なる捜査方法。序盤から謎がいくつも重なり、最後まで続きが気になって見進めてしまいました。
一方、見ているうちに気になったのが、青木崇高さん演じる鷹野秀昭と捜査一課の刑事たちとの関係です。
『邪神の天秤』から見始めても事件の内容は理解できますが、鷹野にはすでに積み重ねてきた物語があるように見えます。調べてみると、『邪神の天秤』は完全な単独作品ではなく、その前に木村文乃さん主演の「殺人分析班」シリーズが3作品映像化されていました。
先に結論:『邪神の天秤』の直接の前作は『蝶の力学』です。シリーズを最初から見るなら、『石の繭』→『水晶の鼓動』→『蝶の力学』→『邪神の天秤』の順。事件だけを追うなら、『邪神の天秤』から見始めても問題ありません。
そもそも、この映像シリーズの原作は麻見和史さんの警察小説です。如月塔子が捜査一課十一係で事件を追う「警視庁殺人分析班」と、鷹野秀昭が公安へ移った後を描く「警視庁公安分析班」があり、その中から複数の作品がWOWOWでドラマ化されています。映像版と原作小説では作品の並び方が異なるため、詳しい対応関係は記事後半で整理します。
この記事では、『邪神の天秤』を見て過去作も気になった人に向けて、映像版「殺人分析班」シリーズの見る順番、直接つながる前作、現在確認できた配信先をネタバレなしで整理します。
後半では、映像版の原作になった麻見和史さんの小説と、ドラマ版『邪神の天秤』をもっと深く味わいたい人に向く本も紹介します。
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殺人分析班シリーズの見る順番|主人公と配信先
映像版を公開順に並べると、次のようになります。
| 順番 | 作品名・公開年 | 主人公 | 2026年8月24日現在の主な配信先 |
|---|---|---|---|
| 1 | 石の繭 殺人分析班(2015年) | 如月塔子 (木村文乃) | Hulu、WOWOWオンデマンド |
| 2 | 水晶の鼓動 殺人分析班(2016年) | 如月塔子 (木村文乃) | Netflix、WOWOWオンデマンド |
| 番外編 | 悪の波動 殺人分析班スピンオフ(2019年) | 野木直哉 (古川雄輝) | WOWOWオンデマンド |
| 3 | 蝶の力学 殺人分析班(2019年) | 如月塔子 (木村文乃) | Netflix、WOWOWオンデマンド |
| 4 | 邪神の天秤 公安分析班(2022年) | 鷹野秀昭 (青木崇高) | Netflix、WOWOWオンデマンド |
『悪の波動』は、『石の繭』につながる人物の過去を描いた番外編です。本編4作品の流れを追うだけなら、飛ばしても問題ありません。
『邪神の天秤』の直接の前作は、3作目の『蝶の力学』です。『蝶の力学』では鷹野の公安への異動が決まっており、その後の物語が『邪神の天秤』へつながります。
事件だけを追うなら『邪神の天秤』からでも大丈夫。鷹野の過去や人間関係まで知りたいなら、『石の繭』から公開順に見るという選び方でよいと思います。
配信作品は変更される可能性があります。Netflixの『蝶の力学』『邪神の天秤』は手元のアプリで配信を確認していますが、Webページの地域表示とは差がありました。アカウントや視聴地域によって表示が異なる場合もあるため、実際に見る前に各サービスで確認してください。
WOWOWは『石の繭』『水晶の鼓動』『蝶の力学』『悪の波動』『邪神の天秤』を「分析班シリーズ」としてまとめています。
第1作『石の繭 殺人分析班』|如月塔子と鷹野の物語はここから始まる
『石の繭 殺人分析班』は2015年に放送された全5話のドラマです。
主人公は、木村文乃さん演じる警視庁捜査一課十一係の新人刑事・如月塔子。廃ビルの地下室で、遺体がセメントに塗り込められる猟奇殺人事件が発生し、捜査本部には「トレミー」と名乗る犯人から電話が入ります。
塔子を指導する先輩刑事が、後に『邪神の天秤』の主人公となる鷹野秀昭です。
『邪神の天秤』では公安へ異動したベテラン刑事として登場する鷹野が、捜査一課でどのように事件や被害者と向き合い、後輩の塔子と信頼関係を築いたのか。その出発点を知りたいなら、まず『石の繭』から見るのが自然です。
猟奇的な事件、犯人との頭脳戦、少しずつ明らかになる過去というシリーズの基本的な面白さも、すでに第1作からそろっています。
参考:WOWOW『石の繭 殺人分析班』/Hulu『石の繭 殺人分析班』
第2作『水晶の鼓動 殺人分析班』|『石の繭』の出来事を背負う塔子
第2作の『水晶の鼓動 殺人分析班』は、2016年に放送された全5話のドラマです。
今度の事件は、部屋も遺体も赤く染められた「赤い部屋」から始まります。さらに都内で爆破事件が発生し、一見別々に見える事件が同時に動いていきます。
事件そのものは『石の繭』から独立しています。ただし、如月塔子は前作の事件で負った心の傷を抱えているため、人物の感情を理解するうえでは『石の繭』を先に見たほうが分かりやすい作品です。
鷹野は今回も塔子の先輩として登場します。『邪神の天秤』で見せる鷹野の捜査スタイルや、後輩との距離感が気になった人にもつながる部分がありそうです。
参考:WOWOW『水晶の鼓動 殺人分析班』/Netflix『水晶の鼓動 殺人分析班』
番外編『悪の波動』|『石の繭』につながる前日譚
『悪の波動 殺人分析班スピンオフ』は、2019年に制作された全5話の作品です。
中心になるのは、古川雄輝さん演じる青年・野木直哉。『石の繭』につながる人物が、どのような過去を歩んできたのかを描く前日譚です。
本編4作品の流れを理解するための必須作品ではありません。時系列だけを考えれば『石の繭』より前の話ですが、人物の正体を知らずに第1作を楽しむなら、『石の繭』を見たあとに『悪の波動』を見るのがよさそうです。
第3作『蝶の力学 殺人分析班』|『邪神の天秤』へ直接つながる前作
『蝶の力学 殺人分析班』は、2019年に放送された全6話のドラマです。
若い資産家が殺害され、その遺体の首には青い花が活けられていました。さらに被害者の妻が姿を消し、新聞社には警察とのゲームをほのめかすメールが届きます。
この作品で重要なのが、鷹野の公安への異動がすでに決まっていることです。
如月塔子たち十一係と鷹野が一緒に捜査する物語としては一区切りに当たり、その後、公安へ移った鷹野が主人公になるのが『邪神の天秤』です。
また、『邪神の天秤』にも登場する菊地凛子さん演じる法医学者・相羽町子が、本作から登場します。鷹野が公安へ移る理由や、過去の相棒にまつわる事情も示されるため、『邪神の天秤』終盤の人間関係を理解するうえでも重要です。
鷹野と町子の関係も含め、『邪神の天秤』の直前に1作品だけ見るなら『蝶の力学』が最も向いています。
参考:WOWOW『蝶の力学 殺人分析班』/Netflix『蝶の力学 殺人分析班』
第4作『邪神の天秤 公安分析班』|鷹野が主人公の新章
『邪神の天秤 公安分析班』は、2022年に放送された全10話のドラマです。
それまでの3作品は、如月塔子を中心に捜査一課十一係が猟奇殺人を追う物語でした。『邪神の天秤』では、主人公が鷹野秀昭へ交代し、舞台も捜査一課から公安部へ移ります。
人の言葉や感情から事件を読み解こうとする鷹野に対し、公安のメンバーは情報を共有せず、捜査対象や協力者を目的達成のために利用します。
鷹野自身も公安では新人です。そのため、過去作を見ていない視聴者も鷹野と一緒に「公安のやり方」を知っていく構造になっています。
過去作を知らなくても楽しめる一方、捜査一課の刑事たちが鷹野を信頼している理由や、鷹野が公安の方法に反発する理由は、『石の繭』から見たほうが深く理解できそうです。
参考:WOWOW『邪神の天秤 公安分析班』/Netflix『邪神の天秤 公安分析班』
『邪神の天秤』から見ても大丈夫|目的別のおすすめ視聴順
結論からいうと、『邪神の天秤』から見始めても大筋は理解できます。
『邪神の天秤』では新しい事件が始まり、公安部の主要メンバーも本作から登場します。鷹野自身も公安へ異動したばかりなので、初見の視聴者も鷹野と一緒に人間関係や捜査方法を知っていけます。
実際、私も『邪神の天秤』から見始めましたが、事件を追ううえで困ることはありませんでした。
ただ、鷹野と捜査一課十一係の間には、最初から出来上がった信頼関係があります。法医学者の町子や、鷹野の過去に関係する人物についても、初見では「以前に何かあったらしい」としか分からない部分があります。
つまり、事件の答えを知るために過去作を見る必要はないものの、鷹野という人物を知るためには過去作が効いてくるという関係です。見る順番は、使える時間や知りたい範囲に合わせて次の3通りから選べます。
シリーズをすべて楽しみたい
次の公開順がおすすめです。
『石の繭』→『水晶の鼓動』→『悪の波動』→『蝶の力学』→『邪神の天秤』
『悪の波動』は番外編なので、先を急ぐ場合は飛ばしても問題ありません。
『邪神の天秤』へ最短でつなげたい
『蝶の力学』→『邪神の天秤』
鷹野の公安異動と、町子を含む人間関係を知ってから『邪神の天秤』へ進めます。
すでに『邪神の天秤』を見ている
『石の繭』から公開順に遡る
先に『邪神の天秤』を見てしまっても、手遅れではありません。公安で孤立する鷹野が、以前はどのような仲間と事件を追っていたのかを知る前日譚として楽しめます。
ドラマ版と原作小説の対応|読む順番は映像版と異なる
「殺人分析班」シリーズの原作は、麻見和史さんの警察小説です。
映像化された3作品には、それぞれ対応する原作があります。
| 映像作品 | 原作小説 | 小説シリーズでの位置 |
|---|---|---|
| 石の繭 殺人分析班 | 『石の繭 警視庁殺人分析班』 | 第1作 |
| 水晶の鼓動 殺人分析班 | 『水晶の鼓動 警視庁殺人分析班』 | 第3作 |
| 蝶の力学 殺人分析班 | 『蝶の力学 警視庁殺人分析班』 | 第7作 |
ここで注意したいのは、映像版の順番と原作小説全体の刊行順は同じではないことです。
原作には『蟻の階段』『虚空の糸』など、まだ映像化されていない事件があります。映像化作品だけを原作で読みたい場合は上の3冊、如月塔子たちの事件を最初からすべて追いたい場合は『石の繭』から小説の刊行順に読むことになります。
2026年6月には『鴉の箱庭 警視庁殺人分析班』の文庫版も発売されており、講談社はシリーズ累計85万部を超えたと紹介しています。
小説を最初から読むなら『石の繭』
如月塔子と鷹野の物語を原作でも最初から追うなら、第1作の『石の繭 警視庁殺人分析班』が入口です。
モルタルで石像のように固められた遺体と、警察へ電話をかけてくる犯人。映像版と同じ事件を、小説では登場人物の思考や捜査の積み重ねを追いながら読むことができます。
『偽神の審判』は小説版の続編|ドラマは2冊とも原作
『邪神の天秤』の鷹野をもっと知りたい人には、「警視庁公安分析班」シリーズが直接的です。
公安分析班シリーズは、次の2冊で構成されています。
- 『邪神の天秤 警視庁公安分析班』
- 『偽神の審判 警視庁公安分析班』
ここがポイント:『偽神の審判』は、小説『邪神の天秤』から直接続く第2作です。ただし、ドラマ『邪神の天秤 公安分析班』はこの2冊を原作として全10話に構成されているため、ドラマの先を描く未映像化の続編ではありません。
小説版では、『邪神の天秤』の物語が『偽神の審判』へ続きます。小説『邪神の天秤』を読んで、その続きと事件の決着まで知りたい人は『偽神の審判』へ進む、という順番です。
講談社は、この2冊を「警視庁殺人分析班」と対をなすシリーズとして案内しており、両方を収録した電子版『警視庁公安分析班シリーズ 全2冊合本』も発売しています。
ドラマ版を見て「公安の情報収集や協力者の扱いを文章でも追ってみたい」「鷹野が何を考えて行動していたのかを読みたい」と思った人にも、2冊を最初から結末までまとめて読める合本版が選びやすいでしょう。
紙の本で読みたい場合は、『邪神の天秤』文庫版、『偽神の審判』文庫版をそれぞれ選ぶ方法もあります。合本版は電子書籍のみなので、購入前に紙版と電子版を確認してください。
参考:講談社『警視庁公安分析班シリーズ 全2冊合本』/『邪神の天秤』/『偽神の審判』/テレパック『邪神の天秤 公安分析班』作品情報
『邪神の天秤』の映像版に続編はある?
2026年8月24日現在、『邪神の天秤 公安分析班』に続く新しい映像作品の公式発表は確認できませんでした。
なお、小説版の第2作『偽神の審判』もドラマの原作に含まれています。2026年8月24日現在、ドラマ最終回後を描く「公安分析班」の新しい小説も案内されていません。
一方、如月塔子が主人公の「警視庁殺人分析班」原作シリーズには、映像化されていない事件が多数あります。映像版の続編を待ちながら原作へ進むなら、『石の繭』から刊行順に読む選択肢があります。
よくある質問
『邪神の天秤』の直接の前作は何ですか?
『蝶の力学 殺人分析班』です。鷹野の公安への異動が決まった時期の事件を描いており、その後が『邪神の天秤』につながります。
『偽神の審判』はドラマの続編ですか?
小説では『邪神の天秤』から直接続く第2作です。ただし、ドラマ全10話は『邪神の天秤』『偽神の審判』の2冊を原作にしているため、ドラマ最終回後を描く未映像化作品ではありません。小説版を読む場合は、『邪神の天秤』→『偽神の審判』の順です。
『邪神の天秤』だけ見ても分かりますか?
事件そのものは本作から始まるため、『邪神の天秤』だけでも理解できます。ただし、鷹野と捜査一課の関係や過去を知りたい場合は、前3作を見たほうが深く楽しめます。
1作品だけ先に見るならどれですか?
『邪神の天秤』へ直接つながる『蝶の力学』がおすすめです。シリーズ全体を楽しみたい場合は『石の繭』から見てください。
『悪の波動』はどのタイミングで見ればよいですか?
『石の繭』を見たあとがおすすめです。時系列上は前日譚ですが、『石の繭』の重要人物を中心にした作品なので、第1作を先に見たほうが入りやすいでしょう。
原作小説も映像版と同じ順番ですか?
同じではありません。『水晶の鼓動』は小説シリーズ第3作、『蝶の力学』は第7作で、その間にも映像化されていない事件があります。
まとめ|『邪神の天秤』から過去作へ戻っても楽しめる
映像版「殺人分析班」シリーズの本筋は、『石の繭』→『水晶の鼓動』→『蝶の力学』→『邪神の天秤』の順です。
『悪の波動』は、『石の繭』を見たあとに追加で楽しめるスピンオフです。
小説版の「警視庁公安分析班」は、『邪神の天秤』→『偽神の審判』の2冊で一続きです。ただし、ドラマもこの2冊を原作にしているため、『偽神の審判』はドラマの先を描く続編ではありません。
『邪神の天秤』から見始めても事件は理解できます。私も先に『邪神の天秤』を見ましたが、過去作があると知ると、鷹野と捜査一課の間に最初からある信頼関係や、鷹野が公安の方法になじめない理由をあらためて確かめたくなりました。
全作品を見る時間がなければ、直接の前作『蝶の力学』から。鷹野と如月塔子の関係も含めて最初から知りたいなら、『石の繭』から公開順に見るのがおすすめです。
そして、映像化されていない事件や登場人物の内面まで追いたくなった場合は、原作小説にもまだ多くの物語が残っています。

