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『ビリオネアズ・シェルター』はフィクションじゃない?実在する富裕層地下シェルターを徹底検証

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Netflix『ビリオネアズ・シェルター』は、超富裕層が“地下の楽園”に籠もる世界を描く。

しかし現実世界にも、ミサイルサイロ改装の高級コンド型バンカーや、欧州の巨大地下施設など、ドラマを連想させる実例が存在する。

この記事では「実在シェルターの仕様・価格・運用」を整理し、ドラマの描写とどこが一致し、どこが誇張なのかを検証する。

さらにマンガ『カイジ』の帝愛地下――“富裕層の楽園を支える建設地獄”という対位を交え、地下に生きる人間社会のリアルを読み解く。


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第1章:『ビリオネアズ・シェルター』の世界観(要点のみ)

  • 舞台:深層地下の完全自律型“豪華シェルター「キメラ・アンダーグラウンドパーク
  • 主要設備:スポーツ施設、スパ、レストラン、バー、心理カウンセリングルーム 等
  • 主題:「金で安全は買えるのか」「閉鎖空間での倫理・権力」

作品紹介は手短にし、以降は現実の事例との比較・検証にフォーカスする。


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第2章:実在する“富裕層向けシェルター”の主な実例

2-1. Survival Condo(米・カンザス州)

  • 概要:旧Atlasミサイルサイロを多層レジデンス化した分譲型シェルター。
  • 設備例:プール、シアター、射撃場、水耕栽培、医療室、浄水、武装警備。
  • 深さ・規模:サイロ由来の深度(数十m級)。人数は数十~約百名規模。
  • 価格:
  • ポイント:“改装”ゆえに新規掘削よりコスト効率が良いが、公開価格を見る限りラグジュアリー仕様は高額
Survival Condo 公開価格(参考)
ユニット種別 専有面積(参考換算) 公開価格(USD)
ハーフフロア(公開時) 約900 sq ft(約83㎡) US$1,500,000(約2.5億円)
フルフロア(公開時) 約1,820 sq ft(約169㎡) US$3,000,000(約5億円)
ハーフフロア(在庫情報・例) 約900 sq ft(約83㎡) US$1,300,000(約2億円)

2-2. Vivos(米・独ほか/ネットワーク)

  • Vivos xPoint:米南ダコタの旧軍需庫群(数百基)を民生転用。各基は小~中規模で、コミュニティ運用が前提。
  • Vivos Europa One:独の山体直下に掘削された巨大施設。防爆・高機密・自律インフラを謳う招待制の高級モデル。
  • ポイント:“複数棟コミュニティ”という運用形態は、補給計画や防衛上の合理性がある。
Vivos 公開価格(参考)
モデル/型 価格(USDまたはEUR)
xPoint:プライベートバンカー(1棟) US$55,000(約900万円)
xPoint:共有利用・入居枠モデル US$35,000〜(約600万円)
Europa One(独・ローテンシュタイン)

€35,000(約600万円)/人(共有4人)
〜 €2,000,000(約3億円)(個別シェル)

2-3. ニュージーランド志向(富裕層の「避難地」ムーブ)

  • 一部の富裕層がNZに土地・拠点を確保する動きが報じられてきた。
  • 実際の“ドラマ級”バンカーが広く一般公開されているわけではないが、分散拠点+プライベート輸送という思想は現実に存在。

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第3章:ドラマ描写 vs 現実スペック(ギャップ早見表)

比較軸 ドラマのイメージ 実在例のリアル
深度 地下200m級の超深層 数十m級が主流(既存サイロ改装など)。大深度は工費・工期・止水が激増。
収容と居住 少数の富裕層が超快適に居住 分譲・レジデンス型や多数棟コミュニティ型も。共用&規律運用が鍵。
電源 原子力+再エネで半永久運用 ディーゼル主+蓄電+太陽光等のハイブリッド。燃料・補機・換気がボトルネック。
食料 AI農園で完全自給 備蓄+水耕等で限時自律が現実的。タンパクは保存食主体。
医療 専任医師一人&基本的な医療設備 陰圧室・処置室+遠隔医療が主。人材確保と運用費が難所。
通信 独立ネットワーク完備 衛星×多系統+メッシュ等の冗長化で対応。EMP耐性は設計次第。
費用感 不明(超高額の示唆) “豪華改装”でも高額。新規掘削でドラマ級数百億~千億級が妥当。

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第3.5章:『カイジ』帝愛地下 ― “富裕層の楽園”を支える建設地獄

出典:福本伸行『カイジ〜賭博破壊録』(講談社)より引用

『ビリオネアズ・シェルター』が完成後の富裕層空間を描くのに対し、『カイジ』は建設現場の地獄を描く。帝愛グループの将来の富裕層用地下都市を作るために、借金労働者が地下で酷使される構造だ。通貨「ペリカ」、酸素・食糧・娯楽の全てが支配され、安全は他者の犠牲の上に成立するという皮肉が突きつけられる。

観点 ビリオネア系シェルター 帝愛地下(建設現場)
視点 利用者=富裕層 施工側=債務労働者
目的 生存+快適 建設+搾取
環境 清潔・静寂・高級 粉塵・低酸素・監視
メッセージ 富の孤立と不安 格差の暴力と犠牲

結論:同じ“地下”でも、誰のための地下かで意味は反転する。二つの作品は、異なる角度から格差の終着点を照射している。


第4章:もし日本のビリオネアが“新規掘削・ドラマ級”を作るなら

4-1. スコープと前提

  • 用途:複数世帯で90~180日自律運用(医療・水耕・衛星通信含む)
  • 規模:地下4~6層、延床5,000~10,000㎡、深度50~80m級
  • 性能:NBC対応HVAC、冗長電源(ディーゼル×N+蓄電)、物理・電子セキュリティ
  • 立地:地質・法規・水利・林地開発のクリアが前提(自治体協議必須)

4-2. 概算コスト帯(CAPEX)

新規掘削でドラマ級を狙うなら、概ね「数百億~1,000億円級」が現実的レンジ。
主なコストドライバーは 深度・断面・止水/NBC等級・発電冗長化・医療機能・豪華仕上
維持費(OPEX)は概ね年5~8%(保守、人件費、消耗品ローテーション等)。

4-3. 工期とリスク

  • 工期目安:調査~基本構想(6~12か月)→ 詳細設計/協議(12~18か月)→ 施工(36~60か月)= 計5~10年
  • リスク:地質不良・湧水・止水難航、資材/燃料高騰、法規・近隣調整、EMP/NBC性能の認証、人間系統治(規律・医療継続)

4-4. 現実的な代替策

  • 既存坑・防空壕・サイロの「転用+豪華内装」:数十~100億円台で到達可能性あり
  • 個人邸地下+拠点分散:数億~十数億円で短期耐性を確保
  • コミュニティ型タイムシェア:CAPEX/OPEXを参加者で分担し、運用を平時から回す

第5章:富裕層はなぜ“地上を捨てる”のか

  • 背景:パンデミックや地政学リスクで「生存資産」への関心が上昇。
  • 戦略:バンカー単体よりも、分散拠点+輸送手段+コミュニティの総合設計が重要。
  • 弱点:補給・人材・規律・医療などの運用設計がボトルネック。
    結局問われるのは「誰と一緒に暮らすか」。

まとめ

  • 『ビリオネアズ・シェルター』は現実の延長線にある。実在施設の仕様を見れば、ドラマの要素は十分に射程内。
  • ただし新規掘削の“ドラマ級”は、数百億~千億級の世界。維持も年5~8%と重い。
  • 『カイジ』帝愛地下は、その“楽園”を支える建設地獄という裏面を描く。
    同じ地下でも、富と貧で意味は反転する。
  • 最終的に試されるのは、設備より共同体の質運用の現実性だ。

 

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