『生きかた上手』新訂版

Date:2017年11月20日13時01分 | Category: | Writer:六百田麗子
『生きかた上手』新訂版

長生きはするもの


 一九一一年生まれの日野原重明医師が、今年7月に106歳で逝去された。聖路加国際病院で終生、医療行為に携わり、その命を全うされた方である。「病院が冷たく、近寄りがたく、怖いところであってはならないのです」という信念を生涯貫かれた方であった。

 日野原先生は、医学部に入学したばかりの一年生の時に、重い結核を患い、トイレにも立てないほどの絶対安静の時期を過ごしたことがある。また、昭和45年におきた、よど号ハイジャック事件にまきこまれ、ダイナマイトを持参した赤軍派の若者9人に、3晩4日機内に拘束された体験も持つ。

 この二つのつらい経験が、後の自分の医師としての生き方に大きく影響を与えたと言っている。「悲しみも苦しみも、そのさなかにはつらいけれど、後になって人生におけるその意味がわかります。むしろそんな悲しみやつらさを過ごしていまがある、あの苦しみのおかげで、こんなに得るものがあったと言えるようになっているのです。

 それが、齢を重ねるよさでしょうか」。「人生にむだというものはないもので、しかし、後にならないとその意味がわからないということがたくさんあるのです」。

 「長生きはするもの」、日野原先生のこのことばを今年先生から手渡されたプレゼントにして大切にしたい。

●『生きかた上手』新訂版
日野原重明 著
ハルメク
1,296円

六百田麗子
昭和20年生まれ。
予備校で論文の講師をする傍ら本の情報誌「心のガーデニング」の編集人として活躍中。