『いのち愛しむ、人生キッチン』

Date:2017年10月20日13時01分 | Category: | Writer:六百田麗子
『いのち愛しむ、人生キッチン』

良く生きるためには
良く食べること


 92歳の現役料理家桧山タミさんは、九州・博多で料理を教えて60年。「良く生きるためには、良く食べることです」と言い、「私達は口から食べているもので動いている」と語りかける。今月はその桧山タミさんの『いのち愛しむ、人生キッチン』をとりあげた。

 現代、健康ブームにあおられ、私達は健康情報を求めて右往左往するけれど、「一番大切なのは三度の食事をきちんと食べること」、そして病気になっても、「自分のからだは自分で治すという人にしか治せません。食べものより良い薬はないでしょう」と聞くと、現代の病の原因は食をおろそかにすることにつきるように思った。

 タミさんが、「心っていうのは強くいなしていけば前を向くものです」というその心を強くいなしていく力は、日々の食事から培われるもの。最近106歳で亡くなった日野原重明医師が、「健康とはからだではなく、心が健やかであることです」といわれた言葉にも通じるように思う。

 「何より鋭敏な心とからだをつくるのは、絶対的に食事です」といい切る強さと「鳥や草花のように自分も自然の一部と思って暮らすこと」という信念に、桧山さん流の「生き方上手」に触れた思いがして、心が晴れ晴れする一冊だった。


●『いのち愛しむ、人生キッチン』
桧山タミ 著
文藝春秋
1,566円

六百田麗子
昭和20年生まれ。
予備校で論文の講師をする傍ら本の情報誌「心のガーデニング」の編集人として活躍中。