映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』

Date:2017年08月18日13時01分 | Category:シネマ | Writer:古山和子
映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』
こんな列車に乗ってしまったら、あなたならどうする?



映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』
監督:ヨン・サンホ
出演:コン・ユ、キム・スアン、チョン・ユミほか
◎9月1日(金)よりユナイテッド・シネマ キャナルシティ13
 ほかにて公開


 最近は映画館へあまり行かないけど、韓国映画やドラマは結構観てるのよ、と言う方、私の周りにも何人も。そこで今月は、昨年韓国で興収No.1を記録し、カンヌでも注目され、スペインやカナダの映画祭でも数々の賞を受賞という韓国映画をご紹介しましょう。原題は「Train to Busan」。

 そう、映画の舞台の大半は韓国の新幹線と言われる高速列車KTXの車内。そして、始めにお断りしておきますが(!?)意味不明の邦題で感づいた方もおいでかもしれません、実はこの映画、ジャンルで言えば“ゾンビ映画”なんです。でも怖くて気持ち悪いだけの映画ではないことは前述のとおりで、感動もたっぷりの韓国映画ならではのパワフル作品となりました。

 まだ夜も明けない午前5時過ぎのソウル駅。5時半発の釜山行きに乗り込む客の中には一人の幼い娘を連れた証券会社のファンドマネージャー、ソグの姿も。家庭を顧みない仕事人間の彼に愛想を尽かした妻は家を出て釜山暮らし。日頃孫の面倒を見てくれているソグの母からも、誕生日には母親に会わせてあげなさいと言われ、片道2時間半の釜山行きをやっと実行したのです。

 後方に4両の特室(グリーン車)を含めた18両編成の101号は定刻に発車。しかし扉が閉まる寸前に様子が変な女性が一人、12号車に乗り込んだことには誰も気づきませんでした。

 ソグ親子と乗り合わせたのは、屈強そうな中年男サンファと妊娠中の彼の妻、訳ありそうな年配の姉妹や試合に行く高校野球部員たち、無賃乗車のホームレスの男、そしてエゴをむき出しのバス会社の重役などなど。

 12号車では不審な女性に声をかけた車掌が既に感染、ゾンビと化した乗客達がゾロゾロと移動を開始。車内のTVからは感染者が爆発的に増加する各地の街の状況が伝えられています。最高時速300キロの特急列車内、異変に気付いたソグ達がとる行動から、もう目が離せなくなってしまいます。と同時にこの映画が伝えたかったもう一つのテーマには何度も涙が。

 仕事人間だったソグが絶対絶命のこの場で知る、なによりも大切なもの。サンファが命に代えても守りたかったもの、愛用のバットを握りしめゾンビに立ち向かっていく野球部員ヨングクが目にしたもの…。

 100人以上ものエキストラによるゾンビ一人一人(?)のメイクや動きもこれまでのゾンビ映画よりかなりの工夫や演出が感じられるし、最新技術を取り入れたという疾走する列車内外の撮影もリアル満点。鉄道好きにもおすすめですよ。


古山和子
RKBアナウンサー時代には「ユーアンドミー」や「ザ・モーニングダイヤル」などを担当。現在もラジオ番組や講演会で映画を中心にしたおしゃべりで活躍中。