今月のひと 山鹿灯籠師 中村 潤弥さん

Date:2017年06月16日18時01分 | Category:今月のひと | Writer:ぐらんざ編集部

室町時代から続く伝統工芸に生きる
若き山鹿灯籠師の夢と挑戦



 夏の宵、揺らめく灯籠を頭上に載せた女性たちが優雅に舞う「千人灯籠踊り」は幻想的な美しさ。今年も山鹿灯籠まつりが近づいてきた。祭りの夜、女性たちが頭に頂く金灯籠のほか神社への奉納灯籠を作るのが山鹿灯籠師。とりわけ寺社や城などの建造物を実物の20分の1から30分の1のサイズで表現した奉納灯籠は完成までに数か月から1年を費やす大作だ。その精緻さと重厚感は和紙と糊だけで作ったとは信じがたいほど。さすがは室町時代から600年以上も続く伝統工芸である。

 現在活躍する9名の灯籠師の中で最年少の中村潤弥さんは、若干28歳ながら、この道9年のキャリアを持つ。中学時代に授業で金灯籠を作ったのがきっかけで灯籠師に憧れ、19歳で当時80歳だった故・徳永正弘さんに弟子入りした。当時、起きている時間はほぼ手を動かしていたというから、まさに灯籠一筋!と驚くと「僕はただ好きなことを仕事にしただけ。僕にとって作ることは趣味の延長で全然特別なことじゃないんです」と中村さんは、さらり。とはいえ「灯籠師の修行期間は10年。初めから覚悟はしていましたが、毎日ひたすら小さなパーツを作る同じ作業の繰り返しだと、成長が実感できなくて…4〜5年目くらいの頃が一番きつかったですね」と本音も。初めて自分の作品を組み上げることができたのは弟子入りして実に6年目のことだったとか。

 近年は祭りの奉納のための山鹿灯籠作りに励むかたわら、スタジオジブリとのコラボで「天空の城ラピュタ」のラピュタ城を制作したり、スタンド式モビール「T OR O」を手がけるなど、山鹿灯籠の技術を生かしながら活躍の場を広げている。「伝統工芸を守るという気負いは特にないです。純粋にいいものを作りたいと思う。そこにお弟子さんがついて代々伝わってきたのが山鹿灯籠ではないでしょうか」
まっすぐな言葉が清々しい。


200ほどのパーツを使って作られる金灯籠には山鹿灯籠作りの基本的な技術が集約されているそう。



「ジブリの立体建造物展」で熊本市現代美術館に展示された「ラピュタ城」。



和・洋を問わず様々な空間に調和するスタンド・モビール「TORO」。