今月のひと 高取焼味楽窯 十五代 亀井 味楽さん

Date:2017年03月14日16時17分 | Category:今月のひと | Writer:ぐらんざ編集部

福岡市内の住宅街に高取焼の歴史を発見
自然が作る風合いのみごとさ、美しさを鑑賞



 高取焼という陶器がある。黒田長政が朝鮮半島から陶工を連れ帰ったことに端を発する名茶器だ。当初、窯は現在の直方市に作られていたが、数度の移窯を経て、300年前に現在の西皿山へ。が、この場所、実は市内早良区高取の住宅街のど真ん中なのだ。
「以前はここに設置している登り窯を使って焼成を行っていたんですが、36年前に地下鉄が通って、一気に住宅が増えてしまいました。ですからいまは煙があまり出ない、ガスを使用した窯を用いています」(亀井さん)

 聞けば、伝統的な登り窯を使って焼く高取焼は七色の釉薬に特徴があり、またその同じ釉薬を使っても一品一品微妙な焼き上がりの違いが出るという。それは天然の素材を組み合わせることによって生まれる妙だ。

「化学調合をしていないところにおもしろさが出るんです。同じものを焼いたつもりでもまったく同じ色は出ないという。焼く際のわらの灰も、もらってきた田んぼが変わると焼き上がりの色も変わってしまうほどです。確かに現代はもう、釉薬の調合も焼成もほとんどデジタルで計算できてしまいますよね。でも高取焼はあくまでアナログに、自分の眼で見た趣きを大切にしていきたいんです」

 歴史を振り返れば、高取焼と切っても切り離せないのが、名茶人といわれた小堀遠州。作庭家や書家としても知られた才人・遠州の茶の湯に寄り添うことで、遠州高取という茶道具が生まれた。

「それ以前の時代には古高取というのもあるんですが、これは別名織部焼といって、いびつな形のものをあえて作ったりもしていたんですね。そこを経た遠州高取は、とても優雅で美しいつくりなんです」

 それを確かめるべく拝見した、併設するギャラリーには設えられた床の間、テーブル、ガラスケースに高取焼の名品がずらり。生活陶器と呼ばれるものから鑑賞陶器まで、整然と並ぶレイアウトは当分飽きさせない。


ギャラリー「味楽窯美術館」 
福岡市早良区高取1-26-62
☎092・821・0457
開館時間:10:00〜17:00 休館日:日曜日・祝祭日 入場無料
※4月5日(水)から4月11日(火)まで大丸福岡天神店にて
 「味楽窯作陶展」も開催。