映画『沈黙―サイレンス―』

Date:2017年01月17日18時01分 | Category:シネマ | Writer:古山和子
映画『沈黙―サイレンス―』
日本を舞台にアメリカの巨匠が伝えたい思いとは



映画『沈黙 ―サイレンス―』
監督:マーティン・スコセッシ
出演:アンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、窪塚洋介、
  浅野忠信、イッセー尾形
配給:KADOKAWA
◎1月21日(土)よりTOHOシネマズ天神本館・ソラリア館、
 ユナイテッド・シネマ キャナルシティ13、T・ジョイ博多ほかにて公開



アメリカ映画界を代表する監督の一人マーティン・スコセッシが原作を初めて読んだのは1988年、以来映画化したいと思い続けて28年。監督自身の“信仰とは何か”という思いを込めた『沈黙―サイレンス―』が今年早々日本でも上映です。原作とは、言うまでもなく世界20ヶ国語に翻訳され、昨年で発刊から50年という遠藤周作の「沈黙」。

 スコセッシ監督と言えば生粋のニューヨークっ子。イタリア移民の子として少年時代はカトリックの司祭になるのが夢だったとか。そのN・Yを舞台にアメリカ社会の暗部や人間の狂気を描きだし、R・デ・ニーロ主演の『タクシードライバー』(76)でカンヌのパルムドール賞、さらにディカプリオと組んだ『ディパーテッド』(06)ではアカデミー賞などを受賞。

 今回の原作『沈黙』に出会った年には、人間としてのキリストを描いて話題になった『最後の誘惑』も発表。それからずっと、この巨匠の胸の内に『沈黙』制作への思いが長年燃え続けていたと聞くだけで、私なんか感動してしまいましたが、現在74歳の監督が、いくつもの障害やトラブルを乗り越えて完成させた2時間40分余の大作です。

 もちろん原作を読んだ方も多いでしょう。17世紀、江戸幕府の厳しいキリシタン弾圧が続く長崎。棄教して行方を絶ったと噂される一人の司祭の事実を確かめるため、ポルトガルから若い二人の宣教師が送られてきます。息をひそめるように暮らすキリシタン達に迎えられる二人。そして彼らが目にしたのは命をかけても信仰を守り抜こうとする人々への情け容赦なき弾圧の実態。あまりの酷さに信仰の揺らぎを禁じえない宣教師たちの苦悩。
“主よ、見ていらっしゃるなら、なぜ黙っていらっしゃるのですか”、宣教師たちの心の叫びがスクリーンから胸に迫ってくるようです。         
 汚れきって、やつれ果てても信者達を案じる司祭を演じるのは『シンドラーのリスト』などのベテラン、リーアム・ニーソン。宣教師役では『スパイダーマン』などの映画で日本の若者にも人気のハリウッド若手スターが熱演を見せています。

 制作前に監督自身、映画の舞台となる長崎に来ていますが、やはり現在の現地での撮影は難しかったのでしょうね、外海や五島、平戸など、港や村のセットでの撮影は台湾で行われています。でも、主演クラスの窪塚洋介や浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也などはもちろんですが“えっ、あの村人やってるのってあの人では…”というくらい多くの日本人俳優が出ています。例年アカデミー賞の行方も気になるこの時期、さぁ今年はどうでしょうか…。 


古山和子
RKBアナウンサー時代には「ユーアンドミー」や「ザ・モーニングダイヤル」などを担当。現在もラジオ番組や講演会で映画を中心にしたおしゃべりで活躍中。