東京通信12 第三次ホッピーブーム

Date:2017年01月20日13時01分 | Category:東京通信 | Writer:小川祥平


第三次ホッピーブーム

 学生の頃、浅草の場末の酒場で初めて「ホッピー」を飲んだ。ちょうどデビューしたての松坂大輔が快投を演じるテレビが店内で流れていたから1999年のことだ。なぜホッピーに食指が動いたのかは覚えていない。でも、当時は爐じさんが飲む下町の酒瓩箸いΕぅ瓠璽犬世辰燭里漏个┐討い襦

あれから18年。現在では下町に限らず、東京の多くの店がホッピーを提供するようになったと実感する。大衆居酒屋に行くと若者からシニアまで幅広い世代がジョッキを傾ける姿を普通に目にする。

福岡では知名度が高いとは言えないので説明すると、ホッピーはビール味の飲料水で、普通は焼酎で割って飲む。酒税法上は清涼飲料に分類されるが、アルコールも0.8%含まれる。店ではホッピーと焼酎が別々にくるので好みの割合で混ぜる。焼酎はホッピーの風味を損なわないように甲類が主流で、私はキンミヤ焼酎(三重県)で濃い目に割るのが好きだ。焼酎がなくなれば「ナカ」、ホッピーがなくなれば「ソト」と注文すればおかわりができる。セットは400〜500円位。ナカもソトも200円程度と高コスパなのもうれしい。

 製造するのは、意外にも下町ではなく東京・赤坂に本社を置くホッピービバレッジ株式会社。昭和23年に前身のコクカ飲料株式会社が開発すると、ビールが高級品だったこともあって大ヒットした。昭和50年代に第二次ブームを迎えるも、チューハイ人気で衰退している。私の学生時代はまさに低迷期だった。

ところが今世紀に入り第三次ブームが到来している。3代目社長、石渡美奈さんの著書「ホッピーでHAPPY!」(2010年)によると、01年度に底を打って以降、同社の売り上げは右肩上がりだ。

 好調の要因は何なのか?今も下町の酒というイメージはあるが、それがマイナスではなくなった。石渡さんの広報戦略が若者への支持を広げた。低糖質、プリン体ゼロで、健康志向の時流に乗った―。様々な見方ができるが、キーワードの1つが爛リジナル瓩任呂覆い。

 ホッピーの名前の由来は「本物のホップを使った本物のノンビア」。誕生時こそビールの代用の性格が色濃かったが、今となっては第3のビール、発泡酒のような所謂「似非」とは違う。独特の麦芽の風味が良いし、少なくとも私は代用品として飲んでいる意識はない。販売戦略も独自路線を行く。前掲書によると、シェアは東京、神奈川、埼玉で8割以上。目指すは全国進出かと思いきや石渡さんは否定し、「東京でもっともっとホッピーののぼり旗の立つ店を増やしていかなくちゃ」と書く。

 そして何よりのオリジナリティーは自分好みにアルコール度数を調整できること。そもそもビールより健康的な上、低アルコールにもできる。若者への支持を広げる一方、シニア世代にも根強いファンがいる理由はそこにある。このブーム、まだまだ続きそうだ。



文・写真 小川祥平
1977年生まれ。西日本新聞東京支社で文化担当記者として勤務。日本酒とラーメンを愛する。