六月博多座大歌舞伎 中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露

Date:2016年04月20日13時01分 | Category:コンサート・演劇・イベント | Writer:眸輝樹
六月博多座大歌舞伎
中村芝雀改め五代目中村雀右衛門襲名披露


新雀右衛門の門出を祝う豪華な顔ぶれ


中村芝雀改め五代目中村雀右衛門、口上の様子。

 六月の博多座は三月の東京歌舞伎座に続く、中村芝雀改め五代目中村雀右衛門の襲名披露公演である。これは七月の大阪松竹座に魁がけての公演だが、新雀右衛門は芝雀時代から博多座には度々出演。又、四代目譲りの風姿はファンも多く百花繚乱の歌舞伎女形の中でも一際目につく存在である。
 新雀右衛門が前名の芝雀を襲名した十歳の時、昭和三十九年の九月(つまり前回の東京オリンピック開催の前の月)、父親の雀右衛門襲名と時を同じくしての事だったから、芝雀という名を何と五十年余も名乗っていたことになる。

 何故この様に長期間だったのかという理由は父四代目雀右衛門が傘寿過ぎても娘役や姫役が出来、瑞々しい芸を披露したことによる。不幸にして新しい歌舞伎座の完成を待たずに鬼籍に入ったがそれから四年、ようやくにして新雀右衛門の誕生となった。

 そんなこともあって新雀右衛門に若女形の雰囲気があるのは、父先代雀右衛門の存在が大きく、立女形にはある程度の距離があった。しかし還暦過ぎとは思えぬ若々しさは染五郎、海老蔵や今回出演の菊之助、松緑ら後輩の相手役がつとまるほどだ。これは父親譲りで父先代雀右衛門も今回出演の坂田藤十郎、尾上菊五郎、片岡仁左衛門といった自分より若い俳優の相手役をつとめても決してバランスを崩すことはなかった。一番驚いたのは孫世代の新之助(現海老蔵)初役の助六で何と恋人役の揚巻を演じたことで、これは歌舞伎史上特筆されて如かるべき出来事だったと思う。

 さて、新雀右衛門の誕生を祝って出演する面々はまさに大顔揃い。平成十一年六月の博多座開場以来数多くの歌舞伎公演があったが、今回はその五本の指に入る大一座といえる。新雀右衛門は昼の部には仁左衛門の熊谷を相手に妻の相模を、夜の部には菊五郎の武田勝頼を慕う大役八重垣姫の二役で襲名披露をする。また、夜の部には襲名披露口上があり、これには藤十郎以下、前記の大幹部二人の他、ヴェテラン、重鎮、若手花形と主だった幹部俳優が列座し、新雀右衛門の門出を祝う。近頃での壮観な一幕となろう。今回は、この他にも義太夫狂言の名作、歌舞伎十八番、所作事(舞踊)と昼夜各四本の狂言立てで見応え充分である。

 紙幅の関係で演目紹介と配役は割愛せざるを得ないが、博多座発行のチラシやテレビの『ザ・博多座』(KBC)を参考にして頂ければと思う。いずれにしても花も実もある五代目中村雀右衛門襲名披露の六月興行である。成功を祈りたい。

 また、六月博多座大歌舞伎恒例の船乗り込みは今年も五月二十九日に開催されるが今回もここ数年同様好天に恵まれ博多の初夏の風物詩として襲名披露に花を添え、一層盛り上がることだろう。


大幹部らも襲名披露を盛り立てる。右から坂田藤十郎、片岡仁左衛門、尾上菊五郎。

六月博多座大歌舞伎
■出演:中村雀右衛門、坂田藤十郎、尾上菊五郎、片岡仁左衛門ほか
■日程:6月2日(木)〜26日(日)
■チケット:A席18,000円、特B席15,000円、B席12,000円、C席5,000円



眸輝樹
演劇エッセイスト。修猷館高校、早稲田大学第一文学部(演劇専攻)卒、九州朝日放送入社。テレビ・ラジオ等のプロデューサーを歴任。幼時からの観劇歴は七十数年になるという。
■お問合せ:092・263・5555(博多座)